終盤

続きは明日とか言いながら2日あいてしまった。気にしない。(ぉ

18:00 日没(41km地点)
最後のリタイア可能地点を出発し、1時間後に最終チェックポイントに到達。
途中、六甲山最高峰から見下ろす神戸の夜景はとても綺麗だった。
夜景を見ながらだったので、足の痛みを束の間ではあるが忘れることができた。
最終チェックポイントに到着して、まずは休憩。
今まで休憩地点でおにぎりを食べることでエネルギーの補給を行っていたが、
ここで最終兵器カロリーメイトを投入。10秒チャージ2時間キープ!(違)
うん、これできっとゴールできる。こういうのは思い込みが大事。
ちなみに、この最終チェックポイントのタイムリミットは18:30。
置き去りにしてきた友人3人が来ないかどうか18:15まで待ってみる。
しかし、一向に現れない。
第二チェックポイントの摩耶山までかなりハイペースだったことを考えると、
あと15分以内に友人らが来る可能性は低いように思えた。
最終ゴールのタイムリミットもあるので、あまりここで待ちすぎるわけにもいかない。
入念に足をマッサージし、重い腰を上げ、再び、山へ。


19:00 闇夜(43.5km地点)
山の入り口で前もって準備してきたヘッドライトを点ける。
ここからは、ライトがないと何も見えない。
そして、延々と足場の悪い山道を突き進む。
登ったり、下ったり、曲がったり。
さらに視界が悪く何度も岩につまさきをぶつける。
歩くペースは、かなり遅い。大会参加者の後方グループに紛れ込んだため、
細い山道では渋滞がおこりがちだった。
足への負担は少ないが、制限時間内にゴールできるかどうかが心配になった。


20:00 錯覚(47km地点)
暗闇の中、何一つ変わらない地形を延々2時間歩き、
ようやく休憩ポイントとなる一般道に出る。
しかし、暗闇の山道というものは、先に進んでいる気がまったくしなかった。
同じような地形に出くわす度に、ここはさっき通った場所だと思ってしまう。
ゲームによくある無限ループに嵌ったのではないかと思えた。
集団に紛れて歩いているからよいが、これを一人で歩くと考えると気が狂いそうだった。


21:00 不覚(50.5km地点)
休憩ポイントの次は、再び山道だった。
一人で歩くのがたまらなく不安だったので、周囲の列に紛れて歩くことにした。
しばらく、歩いていてふと自分の周囲が暗くなった。
何事かと思ったらヘッドライトの電池が切れたらしい。
今日の朝に買った新品の電池だというのに。そんな消耗するものだったとは。
予備の電池は、無かった。
明かりは、周囲の人のライトのみ。
しかし、それは自分の足元を照らしてくれるものではない。
岩があったり、段差があったりして、足元には危険が多い。
ライトなしで進むのは困難に思われた。しかし、それでも歩くしかなかった。
明かりの無い状態で集団から取り残されることは、すなわち完全なる闇。
そうなると、進むことも戻ることもかなわない。
止まってはいけない。どれだけ辛くても歩かなくてはならない。
何度も、自分を励ました。
もう少し、もう少しだ・・・


21:20 脱出(52km地点)
体は既に満身創痍だった。肩、腰、足はもちろんのこと、
冷たい空気を息切れしながら吸ったため喉が痛く、さらに疲れによる頭痛までしてきた。
それでも自分は歩けるのだな、と今更のように感じた。
限界は、既に限界ではなくなっていた。
完走できる。それを確信したとき、闇は晴れた。山を抜けたのだ。


21:45 踏破(56km地点)
山を抜けてから道が広い下り坂が続いた。
下りを一歩一歩踏みしめて歩くと膝が痛かった。
だから、下り坂に身を任せた。
一切ブレーキをかけず、膝へかかるはずの負担はすべて前へ進む推進力に変えた。
そして、スタートから実に16時間弱。
ようやく、ようやく目的の地に到着することができた。
感極まって、少し涙目になっている自分がいた。


22:15 合流
完走証明書と記念品を頂き、近くのベンチに腰を下ろす。
友人とは、ゴールしようがリタイアしようがゴール地点で合流することになっていた。
ゴールしてからメールが届いていたことに気づいた。
山中では圏外なため受信できなかったようだ。
メールには友人2名がゴールへ向かっていることと、1人がリタイアした旨が書かれていた。
最終チェックポイントでの時間差はわずかであったらしい。
一人ゴールの余韻を味わいつつ、しばらくして友人3人と合流。
G氏などは元気なもので、まだ山1〜2つぐらい登れると豪語していた。


獲得
今回の大会に参加したことはとてもよい経験になったと思っている。
一つは、単純に貴重な経験ができたこと。
夜明け前から日没後まで山道を歩き続けるなんて機会は、めったなことでは体験できないだろう。
もう一つは、自分に自信が付いたこと。
諦めたくなることは何度もあった。だけど、それら全てを乗り越えることができた。
どれだけ辛くても、最後までやりとおすことはきっとできる。
きっと、この自信は他の場面でもよい方向にはたらいてくれると思う。


なにはともあれ、参加された皆様お疲れさまでした。
来年は富士山を1合目から登ろうぜ!