金槌

今週も月曜の休日を利用して野外活動へ。


・・・と予定していたのですが、あいにく朝から雨がざざ降り。
今日も中止かねぇ、と肩を落としていたらスタッフの人が「今日は行くよ!」って。
えぇっと、この雨の中行くんですかい。マジか。
中止にならないでほしいとは思っていたが、雨の中行くのもそれはそれで正直微妙な感じだ。(苦笑)


いざ集合の時間になってみたら、今日の子供の数は約50人。いつもの倍ぐらい集まってきてる。
雨の日だってのにみんなお構い無しに元気すぎる。(笑)


電車で奈良の方まで移動してみたら、雨の様子は穏やかになったので、
多少の雨は気にせず、皆で遊びながら川まで移動。
まぁ、これから川に入るってのに雨で濡れることなんざ気にしてられんわな。


で、1時間ほど歩いたところで目的の川に到着。
今回一番やりたかったことは2mぐらいの滝をウォータースライダーのように滑ること。
前回の活動では増水していたので、ここで遊ぶことは禁止されていたのです。
でも、今回は前日が晴れていたせいかあまり増水しておらず、この滝滑りが解禁されたのです。


というわけで、しばらく子供と遊んだあとに、他のスタッフに誘われて滝滑りに挑戦することに。
滝の上に行ってみるとたかが2mでも意外と高く感じる。
まぁ、それでもこれぐらいなら・・・えいっ!っと滑りだす。


水の流れに押されながら一瞬にして滑り落ち、滝の下の水場に落下。
全身が水中に沈み、その反動で一気に水面へ浮上する。
うひょー!これ気持ちええなぁ!もう1回やろうかな!


そう思い、とりあえず岸へ上がろうと思い泳ぎだす。
ん?おかしい、うまく泳げない。それどころか泳ぐ体勢になれず沈んでいく。
・・・服を着ているからか!


それまでは足の高さが届く水場でしか遊んでなかったので、
服を着ていることによる泳ぎにくさにまったく気がついていなかったのですが、
まさかここまで泳ぎにくいとは!
綿パンが水を吸い込みすぎて、裾を膝の高さまで捲り上げているにも関わらず、まったくバタ足ができません。
それが原因で下半身が沈み込み、上半身で必死にクロールをしてもまったく進まない。


まぁ、それでも岸はたった2m先だし、もがけば少しは前に進める。
何より、自分は冷静を保てている。OK、なんとか岸まで帰れそうだ。


必死で泳いでる様子を見て他のスタッフが「大丈夫?」と声をかけてくれたけど、
もう岸は1m手前だったので「大丈夫!大丈夫!」と半ば顔を沈ませながら答えてしまった。


さぁ、もう手を伸ばせば岸だ。少し焦ったとは言えこの程度のことでおぼれたりなんかはしない。
いざ陸に上がろうと手を伸ばしたそのとき―――


ライフジャケットを着用した子供たちが正面からとびついてきた。それも2人。
上がろうとしたところを再び水に突き落とす遊びのつもりなのだろう。
その勢いで再び岸から遠くへ押し流され、水場の中央に戻される。
子供たちは作戦成功!と言わんばかりに満面の笑顔で逃げていく。


さて、だんだん息が続かなくなってきたぞ。
服を着たまま水中で動くとスタミナも急激に消耗しているようだ。
とりあえず体が動くうちに必死に泳いで岸まで行かなければ!
息継ぎを考えると体が沈んでまともに泳げないので、呼吸を我慢して一気に岸まで泳ぐ作戦に出る。


30秒は泳いだろうか。それとも5秒ほどしかたってないだろうか。
息は限界で、もうダメだと思ったころに手に岩があたった。ようやく岸についた!
そこで、顔を上げた。眼前に立ちはだかるのは岩壁だった―――。


泳ぐ方向を間違えたのだ!
こっちからは陸に上がれない!しかしもう泳ぐ余力なんてまったくない!
必死の思いで岩壁からしがみつける場所を探し、ロッククライミングの要領で
指先に力を込めて体を支えながら、ここぞとばかりに体内に酸素を補給する。


しかし、指の第一関節だけで岩にしがみついていたため、長時間体を支えることができるはずもなく。
結局力尽きて再び水中へドボン。しかし泳ぐ方向と距離は分かった。なんとかなるかも!


最後の力を振り絞り、全力で岸まで泳ぐ。
意識が遠のいてきた。ひょっとするとダメかもしれない。
あぁ、なんか頭の中が真っ白になってきたよ。


そんなとき、手に岩が当たった。今度こそ岸だ!
幸い子供も近くには居ない。今のうちに!


体をひきずるようにして陸に上がる。
ゼエゼエ。今のは本気でヤバかった・・・。
もう体が動かない、一旦ここから離れて休もう。


自分の体じゃない。
そう感じたのは立ち上がって1歩目を歩き出そうとしたときだった。
まったく体が言うことを効かない。歩き出そうとした足はあらぬ方向を向き、
体を支えているもう片方の足はくずおれるようにして体勢を崩す。
気がつけば再び水中だった。何が起こったんだ?


もう足がまったく動かなくなっていた。脳で必死に指令を出しても足の応答がまったくない。
どうしたらいい?どうしたら?とりあえず落ち着くか?落ち着いていられるか?
水に落ちた反動で浮上したので、無我夢中で息を吸う。


そのとき目に見えたのが辺り一面のお花畑―――ではなく近くを漂っている浮き輪。
手だけを必死に動かし、必死に浮き輪を手繰り寄せる。
それにしがみついてようやく休息ができる状態に。


数分間体を休めてなんとか無事岸に戻る。もう足も動くようになってた。
いやぁ、恐ろしかった・・・。人生で初めて本気で生命の危機を感じた。


今後からは、深いところで泳ぐ場合はライフジャケット付けて泳ごう。
最初からそうしておけ。ってツッコミは無しで。